男は女からカネを巻き上げつつも、殴る事を辞めなかった。
自分の行いとの葛藤なのかは知る由もないが、3日に一度は殴っていた。
しかし、女は男から離れようとはしなかった。
この男には、ヒモになるべくして生まれてきたような才能があったのである。
女を殴る、その後は自分がどれだけ女を愛しているかを伝え、泣きながら女を抱くのである。
これは母性をくすぐる。
ヤクザが女を垂らしこむのと同じやり方を、この男は自然にやってのけたのである。
この頃になると、男はショートだけでなく泊まりを認めるようになった。
男は愛する女を独占する気持ちをカネに換えた、嫉妬はするがまずカネが優先順位の上にくるのであろう。
遊びまわる男、当初女が隠れて貯めていたカネも使い果たし、彼等の会話は女が男にその日の稼ぎを渡すところから始まるようになった。
それでも女は稼ぎ続けた、既に故郷に錦を飾るという目的からは遠く離れた場所に居た。
一日足りとて消えない痣を体につけながら、お客さんに判らないように灯かりを消して接客した。
離れていくリピーター、新しく知り合ったお客さんとも一回限りという状態が続いていた。
そんな日々を過ごしている時に、僕から呼び出された訳である。
女は別れる事を望んでいなかった。
男に対して情があり、男が変わる事を望んでいた。
第三者的な立場から見れば別れる事がベストな状況、しかし当人はそれを望んでいない。
最も処理しにくいケースである。
しかし、このまま痣だらけの体で接客を続けられては、店としても困る。
小姐に体罰を加える店などという噂が流れれば集客にも影響しかねない。
一番合理的な方法、女を解雇した。
ひとカケラの情もない処置、しかしそれがベストであった。
既にヒモの味を覚えた男に何を言っても意味はない。
男を店で雇い入れる事も考えてみたが、その考えはすぐに消し去った。
同じような男が次から次に出てくるであろう。
経営サイドとして、面倒な事を抱え込むよりも切り捨てる道を選んだ。