新人さんにお客さんの付きが良いというのは至極当然の事である。
使えそうな子であれば店側もお奨め小姐という事で紹介する。
ちょっとルックス的に使えそうにもない子の場合は、新人ですよ!の一言も言わない。
店お奨めの王陽は、当日第一組目のお客さんに早速指名された。
店主である僕から一言「今日が初日なんで、よろしくお願いします。」
この言葉には実に様々な意味がある。
「ウチの店で使えるように仕込んで下さい」「煮るなり焼くなり好きなようにして下さい」や「お手柔らかに」など、聞く人によってどうとでも取れる言葉である。
「よろしくお願いします」とても便利な言葉だと思う。
元々ウチの店には「仕込んでやろう」というタイプのお客さんが多く、まさにオオカミの群れに羊を放す状態。
これから始まるであろう宴を想像しながら、僕は黙ってドアを閉めた。
3時間弱の宴が終わるまでの間、僕はホールで待っていた。
個室から出てきた王陽だが、予想に反して明るい笑顔をしていた。
飲酒のせいか肌の色も良く、悲壮感は伝わってこない。
控え室に呼んで感想を聞く事にした。
泣かれた、いきなり号泣された。
王陽はチップでもらった300元を握り締めて泣いた。
気丈な子だと思った。
お客さんの前では表情を変えないのが最低限のモラルだと意識していたようだった。
緊張が解けた瞬間、泣いた。
泣くのを我慢した事、失ったモノの大きさに気づいて泣いた事、両方共に合格だった。
お客さんの前で泣く事は接客サービスに従事している以上、あってはならない事である。
しかし、それと同じくらい失ったモノを意識して泣く純粋さも必要である。
3時間で失った貞操観念と引き換えに手に入れた300元。
最後の一線は越えていないが、普通の子が水商売に足を踏み入れて初めて手に入れた300元。
こんな紙の為に涙する事、見ている僕もつくづくカネっていうモノがイヤだなと感じた。
ウチのお店の規定では、働く為にデポジットを預かる事になっていた。
無一文で入店した女の子は、毎日の収入から積み立てをしなければならない。
王陽が手に入れた300元のうち、100元を徴収する。
デポジットは700元、この先6回も徴収しなければならない。
自分を人でなしと感じた瞬間だった。
続きはまた明日。。。
コメント (5)
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こんにちは店主さん。
最近あまりレス入れてないんですが毎日欠かさずしっかりと拝見させて頂いております。
ストーリーを読む度にジーンときます。。
投稿者: まいう〜 | 2004年11月18日 07:15
日時: 2004年11月18日 07:15
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いやぁ・・・いいですねぇ。
まさにこういうのが読みたかったのです。
敬意を表して、このHNで応援します。
投稿者: ある色の桜 | 2004年11月18日 07:26
日時: 2004年11月18日 07:26
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殺生を生業とする人のみが殺生の本当の意味を知る・・・とも言いますよね!?
さ〜続きに期待!!
投稿者: す〜ぐ〜 | 2004年11月18日 10:50
日時: 2004年11月18日 10:50
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最初の一線を踏み越える過程を丁寧に追って行く今回のシリーズ読み応え十分です。次回以降のシリーズへのリスクエストですが、(1)一線を越え過夜を生業とする中で、どのようにして自分自身のバランスをとっていくのか、なんて期待しています。
投稿者: 山本良 | 2004年11月18日 16:06
日時: 2004年11月18日 16:06
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なんか盛り上がり過ぎてて最終話を掲載するのが怖いです。
既に書き終えていますが、格好悪い終わり方だったら避難轟々になりそうです。
投稿者: 店主 | 2004年11月19日 09:19
日時: 2004年11月19日 09:19